[眼科 東戸塚]
2025年03月28日
【緑内障シリーズ第2話】「ひとくちに緑内障といってもいろいろなタイプがある〜原発か?続発か?」
前回、緑内障は網膜神線維という目と脳をつなぐ光ファイバーが減るという緑内障に共通する病態をお伝えしました。今回は、神経線維が減る原因となる緑内障にはさまざまなタイプ(病型)があることをお伝えします。緑内障と診断されても緑内障になる原因は多様であり、病型により治療や予後(病気がたどる経過と結末に関する医学上の見通し)は異なります。外科的治療が必要なのに、目薬だけしていては悪化させてしまうこともあります。目薬だけで十分なのに外科的治療をしたら目にマイナスになります。緑内障から目を守るためには、どのタイプの緑内障なのかを正確に知ることが極めて重要なのです。まず今回は、他の病気や薬剤により緑内障になる続発緑内障と、他に原因がなく眼球の問題として緑内障になる原発緑内障に分けて概観してみましょう。
眼圧とは?
眼圧は目の内圧のことです。通常、眼圧は10~21mmHgに保たれていることで安全に機能することができると考えられています。眼圧は、目の中の水分である房水が毛様体から目に入り、角膜と黒目(虹彩)の角(隅角といいます)にある線維柱帯というメッシュフィルターを通って排出されます。この房水の排出がさまたげられると眼圧が上昇して緑内障になりますが、排出をさまたげる原因により原発緑内障と続発緑内障に分かれます。
第1の分類:原発か続発か?
難しい医学用語ですね。目が原因の緑内障を原発緑内障、他に原因があり眼圧が上がる緑内障を続発緑内障といいます。続発緑内障の例を挙げてみます。ここに挙げるのは頻度が高いものですが、全体から見るとほんの一部です。各詳細は省きます。●他の眼疾患に続発する緑内障:実にさまざまな眼疾患が緑内障を引き起こします。
・ブドウ膜炎:目の中に炎症が起きる病気の総称が「ブドウ膜炎」。いくつかのブドウ膜炎は、房水の出口やその付近に炎症を起こし、房水の排出をさまたげ眼圧が上昇します。
●身体の病気に続発する緑内障
・糖尿病網膜症に併発する血管新生緑内障:糖尿病網膜症が悪化すると、線維柱帯に新生血管が生え房水の排出をさまたげます。さらに、悪化すると虹彩が線維柱帯と癒着して隅角は閉塞します。
●薬物
・ステロイド緑内障:一部の人は、ステロイドの局所投与または内服により線維柱帯における房水の通りがさまたげられて眼圧が上昇します。
このように、明らかに目や身体の病気や薬剤が原因になって眼圧が上昇して網膜神経線維が減ってしまうのが、「続発緑内障」なのです。
一方、こうした緑内障になる原因が他に見られず、目そのものに原因があって起きる緑内障を、「原発緑内障」といいます。
原発か続発かで治療の考え方が違う
なぜ、原発か、続発かという分類が重要かと言いますと、治療の考え方が異なるからです。1.続発の場合:原因がはっきりしていることが多いため、その原因を取り除くごとが基本になります。ブドウ膜炎で眼圧が上がっている場合は炎症を抑える治療を行います。ステロイドが原因で眼圧が上がっている場合は、ステロイドを止めます。もちろん、高い眼圧は目に良くないため、眼圧を下げる点眼薬(緑内障点眼薬)も併用します。その後の治療は、次の4パターンがあります。
(ア) 眼圧が上がる原因を取り除けて、眼圧が下がって、視野障害がない場合:緑内障点眼薬を止めます。
(イ) 眼圧が上がる原因を取り除けない場合:例えば、全身の重い病気の治療のためステロイドが中止できない場合などが考えられます。その場合は、緑内障点眼薬による治療を継続します。
(ウ) 眼圧が上がる原因は取り除けたが、眼圧が下がらない場合:房水の出口に不可逆な変化が起きて、原因が取り除けても眼圧が下がらないことがあります。の場合は、緑内障点眼薬による治療を継続します。緑内障点眼薬だけで眼圧がコントロールできない場合は、緑内障手術が必要になることもあります。
(エ) 眼圧が上がる原因を取り除けて、眼圧が下がったが視野障害が出ている場合:いったん視野障害が出ると眼圧が下がっても視野障害が進むことが多いため、必要に応じて緑内障点眼薬による治療を継続します。視野障害が強い場合は、緑内障手術が必要になることもあります。
2.原発の場合
原発緑内障は、房水の出口が開いている原発開放隅角緑内障と閉じている原発閉塞隅角緑内障に2分類され、それぞれ治療の考え方が異なります。
@ 原発開放隅角緑内障:緑内障点眼または線維柱帯のバイパス手術
A 原発閉塞隅角緑内障:レーザー虹彩切開術か白内障手術
今回は、緑内障の第1分類として、原発緑内障と続発緑内障があり、治療の考え方が異なることをお伝えしました。そして、原発緑内障はさらに開放隅角と閉塞隅角に2分類され、それぞれ治療の考え方が異なります。この分類についての詳細は、次回第3話でご説明します。