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田園通信

[眼科 東戸塚]

2024年12月27日

加齢黄斑変性の治療は何をするの?

東戸塚田園眼科です。“加齢黄斑変性シリーズ”も最終の7回になりました。今回は、加齢黄斑変性の治療についてお伝えいたします。加齢黄斑変性は、2009年に眼内に注射する抗体薬(抗VEGF薬)が認可されるまでは、効果が確実な治療がない難病でした。それまでは、外科的治療が試みられたり、放射線治療が試みられたりと患者と眼科医の苦闘が続きました。2003年には、光線力学療法が始まり視力をそれ以上落とさない効果を認め、加齢黄斑変性の治療は大きな前進をしましたが、残念ながら視力を改善させる力は乏しく、より効果の高い治療が求められました。そんななか登場したのが視力改善効果の高い抗VEGF薬でした。これにより加齢黄斑変性は治療可能な病気になったと言えます。しかし、繰り返し注射が必要という問題が残っており、この解決に向けた研究開発が進められています。

現在の加齢黄斑変性の治療概要

現在の加齢黄斑変性の治療は、抗VEGF薬の硝子体注射が第1選択治療です。効果が不十分な時に、光線力学療法を併用することがあります。また、網膜の下や硝子体に大量の出血をきたした場合は抗VEGF薬では解決できないため、硝子体手術という外科的治療で解決を図ります。

加齢黄斑変性治療の中心:抗VEGF薬の硝子体注射

【概要】 加齢黄斑変性に多いウエットタイプは、網膜の土台である脈絡膜血管から新しい血管(脈絡膜新生血管といいます)が生えて、ここから血液成分が漏れたり、出血したりして視力を障害します。この病的過程で血管内皮増殖因子(VEGF)が重要な役割を果たしています。抗VEGF薬は、直接VEGFの働きを抑えて脈絡膜新生血管を退縮させます。効果は1〜2か月程度で低下するため繰り返し注射が必要になります。
加齢黄斑変性とはどういう病気?

主な薬剤:
o マクジェン(ペガプタニブ): 2008年日本で承認。
o ルセンティス(ラニビズマブ): 2009年日本で承認。
o アイリーア(アフリベルセプト): 2012年日本で承認。
o ベオビュ(ブロルシズマブ): 2020年日本で承認。効果がより長期間続く。
o バビースモ(ファリシマブ): 2022年日本で承認。効果がより長期間続く。


加齢黄斑変性治療の補助療法

1.光線力学療法(PDT)

概要:
光感受性物質(ビスダイン)を静脈注射し、特定波長のレーザー光を照射して新生血管を抑制する治療法。
開始年:
2003年日本で承認。
特徴:
抗VEGF療法が普及するまでは標準治療だったが、現在は補助的治療として使用されることが多い。

2.外科手術(硝子体手術)

概要:
黄斑下の大量の出血や線維性組織が生じると抗VEGF治療では解決できない。外科的に取り除く手術。主に重症例に適応。

まとめ

抗VEGF薬の登場により、加齢黄斑変性の標準治療が確立されたと言えます。ただし、年に何度も注射を受ける必要があるため患者さんの負担が大きいという課題が残されています。より長期間効果が続く薬剤が2種類ほど認可され注射回数が減らせることが期待されています。加齢黄斑変性に対する遺伝子治療や幹細胞治療の研究が進行中で、遺伝子治療は治験が行われています。これらの新しい治療が確立されたら1回の治療で効果が一生続くという夢のような時代が来るかもしれません。

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