[眼科 東戸塚]
2024年11月26日
加齢黄斑変性を早期発見する方法は?
東戸塚田園眼科です。“加齢黄斑変性シリーズ”6回目の今回は、加齢黄斑変性を早期発見する方法についてお伝えいたします。加齢黄斑変性は、緑内障と並ぶ目の慢性病であり、早期発見することにより、進行を抑えたり、早期治療により視力を守ることができます。
加齢黄斑変性は、日本でも増加中で、患者数はすでに70万人超にのぼり、50歳以上の約60人に1人の割合で疾患が見られます。加齢黄斑変性が視覚障害の原因の第4位を占め、60歳以上の高齢者の失明原因では第1位となっています。こう聞かされると自分が加齢黄斑変性かどうか気になりますね。高齢の方、あるいは高齢期に差し掛かる方は、いちど目の点検をお勧めしたいと思います。
加齢黄斑変性の早期発見は2つのタイミングがある
1.前駆期:網膜色素上皮の異常
【前駆期とは?】まだ加齢黄斑変性は発症していないが、黄斑の異常が始まっている時期です。加齢黄斑変性は急に始まる病気ではなく、黄斑※を守っている土台の「網膜色素上皮」が、加齢とともに徐々に異常を蓄積していきます。その原因は、黄斑にかかる「酸化ストレス」を解消しきれなくことを第3回の田園通信でお伝えしました※※。この「網膜色素上皮」の異常には、主に次の3つがあります。
@ドルーゼン
網膜色素上皮に溜まる黄白色の沈着物です。これは、ドルーゼンと呼ばれ老廃物と考えられています。
A網膜色素上皮のメラニンの増減
網膜色素上皮は、メラニンを含むため、正常では均一な赤茶色の眼底になります。加齢黄斑変性の超早期には、この色素が薄れたり、逆に増えたりしてムラのある眼底になります。網膜色素上皮細胞の機能低下の兆候です。
B網膜色素上皮剥離
網膜色素上皮はブルッフ膜と接着していますが、この間が剥離して網膜色素上皮がドーム状に盛り上がった状態が網膜色素上皮剥離です。これも、網膜色素上皮細胞の機能低下の兆候を示します。
※病気にかかりやすい黄斑のことを知ろう1-1〜黄斑はとても大切な場所〜
※※なぜ加齢黄斑変性になるの?
【早期発見の方法】前駆期は、自分では症状のないことがほとんどです。つまり、自分で気づくことはできません。しかし、眼底検査をすればすぐにわかります。眼底写真のある健診で見つかることもあります。眼科クリニックで、眼底検査や光干渉断層計検査を受けることが望ましいと言えます。
【早期発見の意義】前駆所見が見つかったら、加齢黄斑変性になりやすい体質であることがわかりますので、加齢黄斑変性を予防するライフスタイルに徐々に変えるきっかけになります。禁煙と抗酸化作用のある食材を多く取ることが重要です。抗酸化作用のある加齢黄斑変性用サプリメントを取ることも効果があります。
加齢黄斑変性にならないためのライフスタイルは?
2.滲出期:脈絡膜新生血管と網膜下液
【滲出期とは?】加齢黄斑変性が発症し、黄斑に出血や網膜下液が生じて、ものが歪んで見える(変視症あるは歪視)、見たいところが見えない(中心暗点)という症状が現れます。黄斑の網膜色素上皮の異常が進み、網膜色素上皮を裏打ちする脈絡膜血管から新しい血管(脈絡膜新生血管)が生まれて出血や血液成分の漏れが生じることが原因です。治療せず放置すると重篤な視力障害を引き起こし、失明することもあります。
【早期発見の方法】滲出期は、変視症や中心暗点と言うはっきりした症状がありますので気が付きやすいといえます。ただ、両目でものを見ているため症状が軽いと気が付きにくいこともあります。何か変だと感じたら、片目だけでカレンダーなどを見ると症状がはっきりします。
【早期発見の意義】すぐ眼科を受診することができ、早期治療が可能になります。早期に治療を開始できると視力を守ることができます。
高齢期に差し掛かったら眼科で眼底チェックを!
最近の眼科クリニックは、光干渉断層計(3次元眼底像撮影装置)という短時間で加齢黄斑変性を発見できる高度機器が普及しています。高齢期に差し掛かって気になっている方は、眼科クリニックで眼底を詳しく調べてみてはいかがでしょうか?